DRMについて(1)

DRM(Digital Rights Management)とは

デジタルデータとして表現されたコンテンツの著作権を保護し、その利用や複製を制御・制限する技術の総称(デジタル著作権管理)。
デジタル化された書籍や音楽などの著作物は何度コピーしても、どんな遠距離を送受信しても品質が劣化しないため、インターネットの普及に伴って、著作者の許諾を得ない違法な配布・交換が増えている。これに対抗する手段として、流通・再生に制限を加えるDRM技術が注目を集めている。

技術について

基本的には、オリジナルのデータを秘密の符号形式*によって記録し、特定のソフトウェアあるいはハードウェアでしか再生できないようにすることで、第三者による複製や再利用を難しくする技術。
デジタル化されたコンテンツは複製しても品質が劣化しないことから、元ファイルから制限なくコピーを生成できる。デジタル著作権管理技術では、コンテンツ本体とは別に再生に不可欠なカギとなるメタデータを用意し、特定のユーザだけにそのメタデータを渡す。カギとなるメタデータを持たないユーザはコンテンツ本体だけを持っていても再生できず、またメタデータは再生するコンピュータやユーザに一意に対応するため、結果として無制限な複製が抑制されることを狙いとしている。
*符号形式:デジタル処理・伝送・記録のための、情報のデジタルデータへの変換方式のことである。変換されたデータを符号と呼び、符号から元の情報へ戻すことを複合と呼ぶ。

具体的な技術について

DRMを実現する仕組みには様々あり、その機構はコンテンツの形式や利用形態によって異なるが、ユーザが特定の再生ソフトウェアを使い、暗号化されたコンテンツを複合しながら再生する方式が一般的である。暗号化に使われるカギは再生ソフトウェア内に隠されているか、あるいはネットワーク上からDLされることが多い。この再生ソフトウェアがユーザのコンテンツ利用を管理するため、利用機関の切れた後には再生不能にするなどの処置が可能になる。しかし、この方法では暗号方式や再生ソフトウェアの内部構造がリバースエンジニアリングによって知られてしまうと、これたの制限を迂回するようなプログラムが作成できてしまう。この行為はシステムを破るという意味では「クラック」とも呼ばれ、DMCAはこのようなリバースエンジニアリングを法的に禁止するための強制力をもった法律である。

初期のDRM技術

DVDの映像信号を暗号化するCSSがある。CSSでは再生ソフトウェアに埋め込んだ固定カギを用いる単純な暗号化を使っていたため、リバースエンジニアリングにより鍵が一般に知られてしまってからは、ほとんどその実効性が失われている。WindowsMediaPlayer形式など最近のDRM技術ではネットワークから鍵をDLするものが多い。
既存のDRMの多くがソフトウェアのみで機能を実現するために、再生ソフトウェアをリバースエンジニアリングして修正を加えることでコンテンツはクラックされてしまう。そのため、近年ではハードウェアそのものにDRM機能を埋め込み、ハードウェアに不正な改造を行わない限りDRMで保護されたコンテンツを再生できないようにする矯正アクセス制御機構をパソコンに標準搭載することが提案されている。マイクロソフトはこのような機構として次世代セキュアコンピューティングベースを提唱している。