今日の電子書籍関連ニュース

電子書籍の案内役 ASAHI eBOOK AVENUEオープン

朝日新聞社のインターネット情報サービス「アサヒ・コム」上に4日、電子書籍を紹介する特設欄「ASAHI eBOOK AVENUE」がOPENした。
朝日新聞が読書面で取り上げた本で電子書籍化されたものを、書評と共に紹介している。現在は「甘酸っぱい思いでの青春SF」が組まれており、小松左京著の『日本沈没』や森博嗣著の『スカイクロラ』が取り上げられている。また、Pick Upでは朝日新聞出版から出版され話題になった吉田修一著の『悪人』や井上真央主演の映画が話題となった『ダーリンは外国人』が取り上げられている。FEATURE欄なるものもあり、そこでは「電子書籍ことはじめ」や「電子書籍どれくらい知っている?」など、電子書籍のイントロダクションページが用意されている。
電子書籍の書評がなされているのも、面白い。現在は田中優子さん、市川真人さんによる書評が公開されている。単なる、内容の書評だけでなく、電子書籍だからこその本のメリットにも触れられており、当サイトを閲覧した人々が電子書籍に少しでも興味をもつように工夫が施されている。
参考:http://www.asahi.com/culture/update/1114/TKY201011140003.html
ASAHI eBOOK AVENUE:http://book.asahi.com/ebookavenue/

紙と電子書籍の共存モデルの確立!角川「BOOK☆WALKER」12月始動

角川グループホールディングスは12日、角川コンテンツゲートを通じて電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」を12月から始動すると発表した。

BOOK☆WALKER」の特徴

文芸書、コミック、実用書、雑誌など幅広く特徴のある10社の出版社が集結してコンテンツを手依拠する点を挙げる。角川グループホールディングス傘下には、角川書店の他に映像分野や電子書籍分野に特化した企業が揃っているため、今回のような試みを行いやすかったのだろう。既存グループ会社とのメディアミックスの他、今後はTwitterなどのオープンプラットフォームとの連携やニコニコ動画ドワンゴと連携したサービスも提供していく予定だ。
オープンプラットフォームとして、他の出版社の参加も可能となっており、今後各社との話し合いと進めて行く行こう。目標としては「髪の本と電子書籍が共存するビジネスモデルの確立」を目指す。プレオープンとして、iPhoneiPad向けに約100作品の電子書籍を配信する。プレオープン後は、毎週20作品ずつ追加していき、来年7月には約1,000タイトルの電子書籍が配信され、さらに端末もAndroidやPCでも利用可能にする。2014年までに当プラットフォームで100億円の売り上げを目指す。

角川グループホールディングスの強さ

角川映画株式会社」「魔法のiらんど」「角川コンテンツゲート」「アスキーメディアワークス」「エンターブレイン」など様々なコンテンツ配信形態を持つ企業をそろえており、電子書籍化にあたってもグループ内で大抵のことには参画しやすいことが、角川の強みだ。特に、魔法のiらんどは1999年にリリースされたサイトで、携帯電話での電子書籍(コミック中心)配信を行ってきた。その歴史は古く、現在電子書籍元年が訪れ多くの出版社が混乱期にある中、角川では以前から電子書籍市場に参入していたため、電子書籍の対応に落ち着きがある。
角川コンテンツゲートって?
2005年に設立された角川グループホールディングス傘下の企業で、映像や電子書籍事業に特化したサービスを行っている。
参考:http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/11/13/bookwalker/

電子書籍の違法配信

今月初頭に、日本の人気作家の小説の海賊版App Storeで販売されるという事件が勃発した。村上春樹の『1Q84』や映画が話題になった東野圭吾著の『容疑者xの献身』などが破格の値段115円〜で販売されていたのだ。
「誤字脱字だらけで、不自然な字間や、文字が追加されている個所もあったようです。値段も安すぎつ。不審に思った購入者が、版元の文藝春秋に問い合わせをしたようです。しかし、文藝春秋側も全く関知していない。そんなアプリがあることも、この問い合わせで知り、大騒ぎになった」と出版関係者は語る。もちろん、作者の東野自身もあずかり知らないという完全な無断販売・海賊版だったのだ。すぐさま、販売停止の処置を要請したという。厳格と言われる「App Store」でさえ、このような事態が起こる。今後、楽天や角川グループなど、日本の大手企業も次々と電子書籍業界に参入が予定されているが、こうした海賊版へのチェック機能はどこまで果たされるのか。まだ、電子書籍が浸透しておらず、DRM機能の議論の最中である今、さらに国内電子書籍市場を混乱させる事件であった。現在、各出版社が様々なコンテンツ配信形態を試みているが、それよりもDRMなど著作権に関する事項の取り決めを速やかに行い、一刻も早く国内電子書籍市場を確立することを最優先にすべきだ。